4つの認識する能力

『中論』はギリシア哲学の影響を受けて、認識論 (epistemology) から始まると考えられるのです。すなわち、人間には4つの認識する能力(cognition)があると説かれています。??五感で認識する能力、??推論で認識する能力、??直接に認識する能力、??天を認識する能力。



1.五感で認識する能力

2.推論で認識する能力

3.直接に認識する能力

4.天を認識する能力

五感で認識する能力

人間には5つの感覚器官 (sensitive organ) があり、外界からの情報を認識ことができます。例えば、目の前の物品について目からの視覚が色や形を、指で叩いてみれば音や手触りで、さらに木の香りを嗅ぎ、幼児であれば嘗め回して、テーブルという存在を五感で感受 (perception) しているのです。これが「五感で認識する能力」です。

推論で認識する能力

人はさまざまな物事に名前を付け、それらの間の関係にも名前を付けようとします。例えば、同じものであるということを同一性 (identity) 、原因と結果の関係を因果律 (causality) 、「??である (being) 」と「??でない (not being) 」の中間はないということを排中律 (law of excluded middle) などの名前です。それらはすべて人間が創り出した概念 (concept)であり、これが「推論 (reasoning)で認識する能力」です。

上記2つの認識能力は「知性の働き」と言い換えることができます。これは科学の方法 (scientific methods) そのものです。すなわち、実験や観察のデータを推論し、その結果として仮説が証明されるという方法です。

直接に認識する能力

人間には真実を直感 (intuition)によって認識する能力があることが、歴史的事実や、様々な経験によって知られてきたことです。しかし、どのようにしてもたらされるかは、明らかでないのです。少なくとも言えることは、知識や思考によってではなく、いやむしろ、それらを排除することなのです。入浴中や、ぼーっと散歩しているとき、あるいは夢うつつの時に現れることが多いようです。これが「直接に (immediate) 認識する能力」です。

天を認識する能力

「天」という言葉は、東洋において孔子(Confucius 、551-473B.C.)の「天命」のように使われ、また西洋のキリスト教世界では "Heaven" あるいは "God" とも称されようです。人には「天を認識する能力」を有していると説かれています。

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